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【種別】 人名 【元ネタ】 同名の実在した伝説級魔術師から。 Wikipedia-アレイスター・クロウリー 本作の「アレイスター=クロウリー」は、この実在した魔術師本人だという設定になっている。 【初出】 「学園都市統括理事長・アレイスター」としては二巻 「アレイスター=クロウリー」のフルネームは六巻 【CV】 関俊彦(男性体) 水橋かおり(少女体) 川澄綾子(コロンゾン体) 【概要】 【正体】 【過去】 【能力・スキル】 【作中での行動】 【口調】 【余談】 【関連】 【概要】 学園都市の創設者にして最高権力者、初代学園都市統括理事長。 同時に世界最高の科学者としての顔も持つ、名実共に科学サイドのトップに立つ人物である。 容貌は長い銀髪に緑眼の『人間』。 相対した者からは「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える」と評されており、 こうとしか表現出来ない、「中性的」という言葉を超越した見た目をしている。 窓のないビルと呼ばれる施設に居を構え、 内部に設置されたビーカー型の生命維持装置にて外界を伺い、基本的には表に出ない。 ビーカーには弱アルカリ性培養液が満たされ、その中に逆さまになって浮かんでいる。 この「生命維持装置」により、人間が行う活動の殆どを機械に任せている。 具体的には、目を動かすという僅かな動作ですら特別なアクションとして認識されてしまうほど。 本人曰く「機械にできることを、わざわざ人間が行う必要はない」とのこと。 一見不健康そうに見えるが、その推定寿命は1700年程。 肉体の仮死化と完全な機械の補助により、世界で最も健康的な体を維持しているらしい。 科学サイドのトップであるが、魔術サイドの存在も認知している。 イギリス清教とは協力関係にあり、最大主教であるローラとは度々連絡や取引を行っている。 学園都市、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 虚数学区やエイワスを制御するための『計画(プラン)』の遂行に向け行動していた。 アレイスターという名はかつて世界最高を謳われた魔術師と同名だが、その大魔術師とは科学的・魔術的に特徴が一致しない為、 関わりを持つ人間のほとんどには「同姓同名の別人、もしくは偽名」と思われていた。 一度、土御門には察知・指摘されているが、それに対しては肯否も返さなかった。 【正体】 その正体は、かつて世界最高を謳われた大魔術師アレイスター=クロウリー、 本名エドワード=アレクサンダーその人。 そしてこの作品の事実上の裏主人公。 新約にて後述の詳しいパーソナリティが描かれた。 魔法名の1つとして『Beast666』を名乗り、 『法の書』を書き記したのも史実通り彼自身。 持論として、「法の書の完成と共に十字教の時代は終わった」と謳う。 活躍したのは70年以上も前の20世紀初頭だが、 その間で数千年を超える魔術の歴史は塗り替えられてしまったと言っても過言ではないらしい。 19世紀において台頭し、近代西洋魔術の雛形となった黄金夜明内部における中心人物の一人だった事も言及されている。 一言で言えば最悪の人間であったと記録されている。 ある魔術実験では守護天使エイワスと接触する器として共に世界旅行に出かけていた妻の体を使っていたり、 娘のリリスが死んだ時も顔色一つ変えずにmagickの理論構築を行っていたと言われている。 その上実験では娘と同い年ぐらいの少女達を犠牲にしていたようである。 しかし、それらの功績として天界や魔界などの層の異なる重なった世界の新定義を見出し、 それまでの魔術様式を一新した。 また、現在の魔術の共通規格とされる近代西洋魔術も、 『黄金』が雛形とされるものの、最終的にはアレイスターの手で編纂されて世界にリリースされた。 現在の魔術師の二割はアレイスターの亜流、何らかの影響を受けている者は五割にも上ると言われている。 だが、そんな魔術師の頂点に立っていた魔術師が魔術を捨てて科学に走ったため、 「世界で最も魔術を侮辱した魔術師」として世界中の魔術師を敵に回す羽目になった。 魔術師討伐組織に追われ、最終的には追っ手に致命傷を負わされる。 1947年12月1日、イギリスの片田舎で死亡したと公式には記録されているが、 実際は死の直前にカエル顔の医者に出会い、命を救われていた。 そして第二次世界大戦後のどさくさに紛れて日本に渡り、学園都市を設立した。 その際カエル顔の医者も都市の仕組みを作る手助けをしており、生命維持装置も彼によって提供された物。 因みに日本を再起の地としたのは、戦後で介入しやすかったこと、労働を苦としない国民の性質、 そして初めて鎌倉の大仏を見た時の衝撃が決め手だったらしい。 (学園都市の立地が神奈川に近い一因と思われる。 なお、史実の現実世界でもアレイスターは鎌倉の大仏を訪れている) イギリス清教は公式の死亡後にもこれまでに蓄積した『アレイスター=クロウリー』の情報を元に追跡を続けているのだが、 その情報は彼自身が意図的に掴ませている誤情報。 さらに前述の生命維持装置に生命活動を任せることで、魔力生成に必要な生命力を機械的に生み出し、あらゆる探査をかい潜ってきた。 そのため現在の彼は怪しいとは思われつつも、別人だと認識されていた。 しかし、ローラは以前から彼が死亡したと考えてはおらず、 フィアンマとの激突によってサーチ術式が反応した際には、「やはり生き延びていたか」と漏らしている。 因みに作品全体を通してキーワードとなっている「科学と魔術」だが、 実際にはアレイスターの『原型制御』によって、そこにあるものを分かりやすく切り分けて再配布されたものに過ぎない。 これは実際には無限の色の移り変わりで出来ている虹を、強引に「七色」として自分を納得させているようなものである。 つまるところ、科学と魔術には厳密な境など存在せず、アレイスターがその二者を区切って、世界が勝手にその区切りに乗せられたという表現が正しい。 科学と魔術が地続きである証としては対魔術式駆動鎧が存在するが、 実際にこれを分析した琉華からも「世界は統一した理論で説明できてしまう」と言われている。 これ以前にもレイヴィニアによって、魔術と科学が厳密に分かれていなかった時代がかつてあったことが語られている。 「成功も失敗も問わず、成功すればそれで良し、失敗さえも糧にして前へ進む」人物であり、 彼の『法(テレマ)』に基づく『計画(プラン)』もそのような思想の元に進められている。 成功、失敗、勝利、敗北、獲得、喪失、栄光、挫折、いかなる結果を得てもアレイスターの作る流れに何ら変化は起こり得ない。 たとえ1から6まで賽の目に何が出たとしても、結果として一つの向きに流れを整えられれば、アレイスターにとっての目的は達成されるのである。 合理の極致を歩む最適解の権化のような人間でありながらも、その実かなりの激情家の顔も持つ。 「聖人」や「魔神」のように一見完璧な存在に思えるが、 「成功しようが失敗しようが前に進む」ことが原因で、 デメリットやダメージを一切考慮せずにその場の思い付きで行動を起こすことがあり、意外とボロや黒星が多い。 上条には「危うい」と評されている。 【過去】 新約十八巻で、彼が『プラン』を目指すようになった経緯が明らかにされた。 少年時代、両親も含めた十字教の信者達が「正しさ」を押し付ける様を見て十字教を嫌悪するようになり、 神の支配する不完全な世界を、自らの手によって完全なものにするという夢を持った。 その後、夢を成就させるために魔術を学び、成人後は『黄金』に入ってメイザースらと交流を持った。 ちなみにこの頃、自作の官能小説を場末の出版社に持ち込む、皆の集まる儀式場で自分の精子を持ち込み実験を始める、 仲間の魔術師にセクハラじみた詩を語る…などといった、 下ネタ特化の暴挙と御乱心のバーゲンセールをしまくっていた。 なお、これらの行動の数々はそのほとんどが実在のアレイスター=クロウリーの行動に基づいたものである。 一方、中性的な美貌によりその破綻した性格をもってしても努力せずともモテたそうで、 その反動で普通の恋愛には興味を抱けない「良い御身分」だったという。 ある時、師と慕うアラン=ベネットから、『黄金』の魔術が「位相」の衝突を生み、 それによって発生した『火花』が世界に「不幸の運命」をもたらし続けていること、 そして、その運命が「将来的に生まれるアレイスターの最愛の娘」にも牙を剥く事を知らされる。 アレイスターは人が世界に跪く仕組みを、つまり世界に蔓延る「運命」を憎悪するようになり、 その原因である『魔術』の絶滅を、そして「呪い」を背負う覚悟をアランの前で誓う。 そして、 「この世界にある全ての位相を絶滅させ、位相に振り回されて不幸になる人を二度と出さない世界にして見せる」 という信念を持って生きるようになった。 つまり、彼が計画している『プラン』の目的とは、 端的に言えば世界に存在する『運命』とか『どうしようもない現実』等の世界の理不尽さを弾劾し、 世界から『理不尽な悲劇』を一掃して『誰もが当たり前に泣いて当たり前に笑える世界』にすることである。 「私はな、これから生まれる命がすでに偶発の死に堰き止められてしまっている事、 それ自体でここまで憤っているのではないんだ」 「これほどの悲劇が埋もれてしまう事。 そんなにも世界の日向の部分に悲劇が溢れ返ってしまっている事。 皆が素直に憤って立ち上がれば良いものを、仕方がないよで諦めてしまう事! それが哀しいと言っているのだ!!」 やがて彼は『黄金』を破滅に導くために反旗を翻した。 師ではあるが『黄金』の魔術師であるアランを殺害した後、「ブライスロードの戦い」を仕組んで『黄金』を空中分解に追い込み、 当時の黄金に纏わる全てを「呪詛」(何をやっても必ず失敗してしまう呪い)の力で破滅させた。 最終的にその「呪い」はアレイスター自身にも牙を剥き、 現代まで続く後の人生は「失敗」が付き纏ったという。 やがてローズ(未編集)という女性と恋に落ち、アランの占術通りリリスという娘を授かった。 このリリスのフルネームはNuit Ma Ahathoor Hecate Sappho Jezebel Lilith Crowleyという長ったらしいものだが、これは彼女が幸福であれるようアレイスターが考えてつけた名前だった。 その後、リリスを死の運命から救う魔術の研究のため、K2登山に挑戦したものの間に合わず、 アランの言葉通り、リリスは『火花』のもたらす「運命」によって幼くして病死してしまう。 最愛の娘の死に際に駆けつける事すら出来ず、 ただ全てが終わった後に簡素な手紙の形で結果だけを押し付けられることになった。 つまるところ、『人間』アレイスター=クロウリーの原動力はこの時代に隠されていたのである。 以降、彼の人生は転落が続くこととなった。 異常な言動を撒き散らし、世界最高でありながら最低最悪の魔術師とも呼ばれ、 時にマスコミの非難に晒される苛烈な人生を送った。 そしてその人生の最後、劇毒たる呪いを飲み干してなお、リリスを死に追いやった「ありふれた病名」だけは覆らなかった。 オティヌスによれば「宗教に依らない科学の世界(純粋なる物理法則の世界)を直接いじくる」ことを目的としているらしい。 その後、ブライスロードの戦いで失った追儺霊装『幻想殺し』を再び見つけて活躍させるために学園都市を構築した。 【能力・スキル】 世界最高の科学者と評され、超能力の概念を生み出して科学サイドと魔術サイドを切り分けた張本人。 科学技術という概念の中に含まれるもの全てを頭脳に収めており、最先端科学を自分の手札として自在に行使する。 また世界最高の魔術師とも評されるだけあり、その実力は次元が違う。 その腕前は本物の魔神から、「魔術の道を正しく進んでいれば魔神になっていた」と認められる程。 ただ当人は『人間』に拘っているため『魔神』になる気は全くなく、 それどころか敢えて魔神にならないように自分を制御しているらしい。 それでも魔術を極めた結果高次存在と化しており、存在そのものが曖昧。 シークレットチーフの『窓口』とされるアンナ=シュプレンゲルと同じように、 彼もまたエイワスの一学説「シークレットチーフの真なる者」への『窓口』として機能している。 その存在は0と1だけで表現する事が出来ない。 10億8309万2867通りの可能性 アレイスターは普段生命維持装置の中で暮らしているが、その場にいるアレイスターは一人だけではない。 その魂には、10億8309万2867通りもの「分岐先」、言い換えると 仮にアレイスターが現実と違う選択肢を取っていたらこうなっていた、という「ifのアレイスター=クロウリー」を秘めている。 本人曰く「私の魂は極彩に輝いていた」。 かつてこの「分岐先」を自らの分身として作る実験を思い付きで実行し、その産物として「分岐先」を顕現させることに成功した。 しかし世界に複数のアレイスターが存在したところで、ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。 全てのアレイスターを重ねて一つの座標に留めることを余儀なくされた。 ファックスのように瞬間的にその存在を分化させることで、疑似的な瞬間移動をすることも出来る。 同じ原理で、学園都市に設置されたビーカーに居ながらにして、別の場所に並列して同時に存在することすら可能。 魔術の無効化 前述の通り現在世界に広まっている近代西洋魔術の理論は、アレイスターが都合よく広めた、 いわば「アレイスター流魔術解釈」である。 つまりアレイスターはその裏口や脆弱性を知り抜いているため、 近代西洋魔術の要素が含まれた術式に対して干渉や無力化、ひいては乗っ取ることすらできる。 (インデックスの『強制詠唱』と原理は似ている。) 逆に言えば近代西洋魔術成立以前の術式は通用するのだが、 そうした術式を持ち出しても、現代の魔術師ではどうあがいても近代西洋魔術の視点から術式を解釈してしまう。 つまるところ、人間の魔術でアレイスターを傷つけることは事実上不可能。 彼に魔術攻撃が可能なのは、 1.魔術師の意思が介在しない「近代以前の」無人自立霊装 2.アレイスター以前の、独自の魔術理論を保つ魔術師 3.魔神や天使などと言った、そもそも人の魔術に縛られない存在 の三通り。 とは言えこの条件を満たし、アレイスターを負傷させた(させうる)存在はほんのひと握りしかいない。 以下項目のある能力・術式については各リンクを参照。 衝撃の杖(ブラスティングロッド) 霊的蹴たぐり 飛沫 magick アブラ・クアタブラ 業(カルマ)の術式 呪詛の魔術剣 原型制御(アーキタイプコントローラ) 【作中での行動】 学園都市の設立後、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 学園都市に秘められた虚数学区を制御するための『プラン』を進める。 断片的な情報によれば、エイワスを利用することや、『神浄』と関わる何かを目指しているらしい。 しかし、予想外の事態が多く重なり、元来の計画から逸れてきており、エイワスには「焦っている」と評される。 第三次世界大戦においては、計画の要となる上条当麻が自身の監視下から外れたことに対し憤り、 幻想殺しに内包される何かを垣間見たフィアンマを抹消し、計画を逆算される可能性を潰すために自ら出陣。 満身創痍とはいえ第三の腕を振るうフィアンマを簡単に下した。 だがフィアンマと彼が引き起こした第三次世界大戦により、この時点で『プラン』に許容できない誤差が発生。 修正方法が現状分からず、下手に行動を起こすと『プラン』に影響するためうかつに動けない模様。 北極海に沈んだ上条の回収を行わなかったり、学園都市に帰還した上条の確保に動かなかったのはこれが原因。 学園都市に接近するラジオゾンデ要塞への対応が遅かったのもこのためである。 その後、魔神オティヌス率いる『グレムリン』の数々の行動を問題視しつつも、 彼は『隠世』に潜む真のグレムリンである魔神たちに接触する方法の模索を優先。 存在しない数で埋め尽くされた座標を強引に10進法に変換することで隠世に侵入。 これを破壊し、彼らを現実世界に引きずり出す事に成功した。 この際、魔神の一柱『僧正』の挑発に乗る形で魔神達に無謀な攻撃を仕掛け、 結果として体の3分の1を焼き焦がされ、活動休止を余儀なくされた。 これに対し、木原脳幹には、 「一見理性的なくせに、実際には感情で片付けてしまおうとするのが君の悪い癖」と失笑された。 しかし実際には、魔神に共通するパラメータを体当たりで入手するために必要な敗北だった。 更に、先行して現実世界に現れていた魔神で、万全の状態だったはずの『ゾンビ』を木原脳幹が撃破。 ゾンビに適用された『鏡合わせの分割』を解析・改竄した上で、 ゾンビに成りすまして残る魔神らへ改変した術式を埋め込み、可殺状態に追い込むことに成功する。 そして、木原脳幹によって磔にされたゾンビの亡骸を彼らに投げ寄越し、魔神達へ宣戦布告した。 新約一巻ではレイヴィニア=バードウェイに「お前の焦りは透けて見える」などと煽られている上、 新約十巻では魔神に自分の娘の話をされて激昂した勢いで(元からそのつもりだったとは言え)交戦したりするなど、徐々に人間味を見せ始めた。 ローラの思惑によって木原脳幹が打ち破られ、コールドスリープを余儀なくされた際には、 彼は初めて自らの『プラン』を呪い、僧正と相対した時などとは比較にならないほどの感情を露わにし、1人号哭を上げていた。 その後、対魔術式駆動鎧に吹き飛ばされた木原唯一の前に姿を現し、 「自分を殺したいのなら構わない」と言いつつ、「その前に自らの仕事を果たせ。そうでないと お前を動かすために散っていった『彼』があまりにも無残だろう」と、 感情のない瞳で、それでも激情を裏にひた隠しにしながら唯一に告げ、 対魔術式駆動鎧に接触した美琴を新たな脅威と認定し、上里翔流と同様に排除する事を決定した。 新約十八巻では、自らの本拠地である窓のないビルに上条を呼び寄せ、 ミナ=メイザースを案内人として自らの過去を見せた後に最上層で対面。 エイワスを召喚するなどして上条を圧倒するも、 『プラン』に向ける信念を「天国という位相にいて幸せに笑っているかもしれないリリスを否定する行為」と上条に断じられ、幻想殺しを叩き込まれた。 世界の改変を願った男は、いつしか娘の魂と尊厳を守る側に立てなくなっていた。 かくして、どこにでもいる平凡な高校生の右手をもって『学園都市統括理事長』アレイスター=クロウリーの物語は幕を下ろすこととなった。 が、『魔術師』アレイスター=クロウリーの物語に関してはこの限りではない。 上条の握り拳に吹き飛ばされて床に伸びていたアレイスターは、 直後に窓のないビルに現れたローラ=スチュアートの発言で、 彼女の正体がアレイスターの2人目の娘「ローラ」であること、 そして、その「中身」がローラの体を乗っ取ったコロンゾンであることを知る。 コロンゾン曰く、ローラは日常的に父に対する文句を口にするほど嫌っていたが、 乗っ取られる直前に父に助けを求めていたらしい。 その事を聞いたアレイスターは激昂したが、怒りも虚しくダモクレスの剣で殺害された。 しかし、魂に10億8309万2867通りもの「分岐先」を秘めていた彼は、直後にそれらを群体として解き放ち、イギリス連邦を制圧。 曰く、右方のフィアンマや木原唯一と対峙した際に存在を分化させた事が原因で、分身を同じ座標に留めきれなくなっていたとのこと。 (世界の人口をいきなり10%近く増加させてしまったが、思い付きの行為だったため、 人口増加に伴う食料問題やエネルギー問題については考慮していなかった) アレイスターと面会した者たちが抱いてきた、 「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』」という印象は決して間違いではなく、 それだけの分化先を実際に魂に秘めていた。 英国本土とまではいかないものの、しかしローラの耳に入った時点ではロンドン郊外さえ陥落させていた。 ローラは勝利を収めたわけではなく、あくまでこの分岐の中のたった1つを出し抜いたに過ぎなかった。 その後、分岐先の1つである、「ベイバロン」をベースとした中学生か高校生くらいの少女の姿を取り、上条の前に再び姿を現した。 上条と合流した後は女性の性感を知るべくうぶな彼に性交を依頼したり、 ラブホテルを拠点としてこれまた上条相手に性魔術で敵味方の探知機を作ろうとしたり、 少女の姿でタオル1枚巻いただけで一緒にサウナに入ったりするなど、 かつてのような超越者然としたミステリアスさは日の目を見なくなった。 なおこれらの行動は「コロンゾンの息がかかっている箇所を探る護符を作る」ためのものであり、 その場のテンションで上条に迫っていたワケではない。 A.O.フランキスカの正体を暴いてカエル顔の医者の病院に辿り着き、 そこでエイワスによって新たに受肉したリリスと再会を果たす。 リリスと再会した後もしあわせになる事への恐れを抱いていたが、 エイワスからの「しあわせになる事から逃げるな」という言葉を受け、リリスと触れ合ったことで、 「魔術師・アレイスター=クロウリー」としての完全復活を遂げる。 直後、ミメティックプレデターを霊的蹴たぐりのビッグバン爆弾で消滅させ、 コロンゾンに乗っ取られた府蘭をガンマナイフにより『A・O・フランキスカ』だけを切除して救った。 書庫争奪戦に決着がついた後、『学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリー』として 浜面仕上に暗部から逃れられる保険を約束し、一方通行とも落とし前をつけることを承諾した。 そして未だコロンゾンに管理権が簒奪されたままの学園都市を機能停止させ、 コロンゾンを学園都市に封印して足止めし、ローラを奪還する手段を確保すべく英国に向かう。 しかしコロンゾンの肉体はローラではなかったと判明。 激闘の末、一方通行に統括理事長としての全権を委譲した後、死亡した。 遺体はエリザードによって国葬が決定され、本人としても満足して死んでいくつもりだったが、 コロンゾン本体と分離して残った肉体に宿り、現世に留まることになった。 1909年に行われた召喚実験では、本来ならば「アレイスターの肉体にコロンゾンが宿る」手筈だったが、 この術式の火花が予想外の形で作用した結果、「コロンゾンの肉体にアレイスターが宿る」形になってしまった。 しばらくは身を隠し、科学でも魔術でもない「第三の領域(バックステージ)」に潜るつもりのようだ。 新約二十二巻以降、コロンゾンとアレイスターが同じ肉体に同居している。 創約三巻ラストで日本に帰還し、学園都市東側の外周部にほど近い新宿の高層ビルの屋上で脳幹と再会。 脳幹に諭され、再び「魔術の撃滅」に向けて動こうとする素振りを見せた。 創約四巻では脳幹を連れてロサンゼルス市のR&Cオカルティクス本社ビルに姿を現す。 アレルギー物質によるアナフィラキシーショックで相手の身動きを封じつつ殺人ヤドリバエを操り、 アンナ以外のR C経営陣を惨殺した。 学園都市暗部が生んだ負の科学技術は一方通行によって放棄されたが、 代わりにアレイスターがそれを「拾い」、行使することを宣言。同時にアンナに宣戦布告を行った。 創約五巻中盤にて、ある目的のため学園都市に帰還し、上条の前に姿を現す。 オペレーション・ハンドカフスの生き残りが起こした事件に右往左往する上条に「私に預けるか?」と問いかけたが、 「もうここはアンタの街じゃない」と断られると、「君と口ゲンカだけはしたくない」と笑って音もなく去った。 その後、窓のないビルの地下基部に隠していた、「アンナ=キングスフォード(未編集)の遺体が保存されている場所の情報」を取り出した。 【口調】 一人称は「私」で、基本的には冷静な口調。 「まさかとは思うが、お前達は私をただの馬鹿だと侮っていたのかね?」 が、素の口調は激情家のもの。下記は新約十五巻でイギリスから学園都市の様子を観察していたローラへ放った言葉である。 「……何見てんだアバズレ。今すぐここで呪殺でもして欲しいのか」 【余談】 ニンテンドーDSで発売された「電撃学園RPG CROSS of VENUS」にて最後の隠しボスとして登場。 主人公達の前に突如として現れ、異世界での物理法則の検証をプラン短縮の参考とすべく、手合わせを挑んでくる。 これがアレイスターのフィアンマ撃退時に先だった戦闘披露となり、瞬間移動や衝撃波、 上空より無数の光を放つ「衛星光波」といった能力を駆使し、隠しボスに相応しい実力を見せつけてくる。 戦闘終了時には、勝敗に関わらず「良いサンプルがとれた」と言って主人公の前から姿を消すが、 その余裕の様子から察するに、どうやら本気はまるで出していなかったらしい。 ここからも、アレイスターの凄まじい実力の程を垣間見る事が出来る。 【関連】 滞空回線(アンダーライン) イシスの時代 オシリスの時代 クロウリーズ・ハザード テレマ テレマ僧院 トートタロット プラン ホルスの時代 クロウリーの書(ムーンチャイルド) 問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)
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本日の実験を終えた垣根帝督は、木原研究所内にある資料室を訪れていた。 「やっぱり、研究資料と一緒に依頼の資料も放っぽってやがる。シュレッダーにもかけてねぇし。相変わらず、研究以外はズボラな野郎だ」 呟きつつ、垣根は姫神秋沙に関する資料を紙束の見つけ出す。 ざっと目を通して確認した後、それを小さく折りたたんでジーンズのポケットに入れたところで、突然資料室の扉が開け放たれた。 「こんな所にいたのかい」 言いながら入ってきたのは木原幻生その人。 「どうも、明日の依頼の資料を確認しようと思いまして」 努めて冷静に言いながら、垣根は部屋の隅に無造作に置かれている、明日行う予定の依頼についての資料の束を手に取る。 「……ふふん。熱心でいいことだ。ところでね、帝督くん。今日の実験の結果が出たんだけどね、見てくれるかな」 特に気にした様子もなく、垣根は資料室に設けられたら四角い机に数枚のコピー用紙を広げた。 「わかるよね」 「…………」 資料を覗いた瞬間、幻生の言わんとしていることは分かっていたが、 「……何が、ですか?」 垣根ははぐらかすような答えを返す。 「やれやれ、ここの数値だよ。一月に一回行っている検査実験。それの、ここ半年間の結果をグラフ化したものだ」 幻生は白衣の胸ポケットからボールペンを取り出すと、わざとらしく六つの棒グラフの天辺を繋ながら言った。 「段々上昇率が下がってきている。そして先月と今月じゃ、もうほとんど横這いだ」 「…………」 「天井が見えてきてしまったのかな。天上に届く前に、ね」 トントン、とボールペンの先で用紙を叩きながら、一体何がおもしろいのか、くつくつ、と声を押し殺して笑う幻生。 〈歴然。今のは『天井』と『天上』の音が同じことを利用した駄洒落と呼ばれる技法だ〉 (……いいからテメェは黙っててくれねぇか) 頭の中に響く声に釘を刺し、垣根は幻生に向き直る。 「確かに実験の結果が著しく良くなっている訳ではありませんが、悪くなっている訳でもありません。『未元物質』の能力は衰えていない、だったらまだ研究価値はあるでしょう。あなた方は、未だに『未元物質』が何であるか、その取っ掛かりすら掴めてはいないんですから」 文句を言うなら、まずは『未元物質』を解明してからにしろ。 その言い分は、今まで『未元物質』を研究してきた研究者たちが、今回のように垣根を手放そうとする度、『次の雇い主』を探すため、或いは移転のための時間稼ぎに言ってきたことだ。 こう言えば、その言葉を真に受けて――或いはその言葉が薄っぺらい自尊心に触れて、『未元物質』の研究を引き伸ばすことがあったのだ。 だが、 「何度も言うようだけど、私の興味は絶対能力、ただそれのみ。だから君の『未元物質』という能力それ自体には何の興味もないし――突き詰めてしまえば君が絶対能力者にさえなってくれれば、『未元物質』の実態を解明できなくとも構わない」 幻生が、気味の悪い笑みを浮かべる。 「そして今の君には、もう絶対能力者への進化の兆しが全く見られない。これは、新しい可能性に研究を移すべきかもしれないね」 「どういう……」 「新しい能力者を開発した方がいいかもしれないってことだよ。……あぁ、そういえば。姫垣くんは、能力開発していないんだっけ?」 「――――!」 ドガンッ、と大きな音を立てて。 机が真っ二つに弾けた。 「……それは、契約違反です。木原幻生さん」 幻生を睨みつけて、一言一言区切るように垣根が告げる。 「分かっているよ。流石に全く未知の可能性と現超能力者とでは、後者の方に天秤が傾かざるを得ない。――現段階では、ね。君にはもうしばらく付き合ってもらうよ。垣根帝督くん」 悪びれた様子もなく、飄々と言ってのける幻生に、 「…………失礼します」 垣根はそれだけ答えると、幻生の横をすり抜けて部屋を出て行った。 〈そちらにも、困難はあるようだな〉 木原研究所を出てしばらくしてから、頭の中からアウレオルスの声が響いてきた。 (テメェのに比べれば大したことじゃねぇ。禁書目録に例えるなら、まだヒメは『首輪』を嵌められる前の状態だ。何とでも、護り様がある) 半ば自身に言い聞かせるような言葉。 それすらもアウレオルスには伝わっているであろうことを知っていて、しかしだからこそ垣根はどこか安心した心地がした。 (俺の問題は俺が解決する。もとより超能力に関わりのねぇテメェには関係のない話だ。それより今はテメェの用件だろ) 心中で語りかけながら、垣根は先ほど資料室から掠めてきた姫神秋沙の資料を広げる。 (取り敢えず、こいつが生活してる霧ヶ丘女学院の寮の部屋を訪ねてみる。上手くいけばいきなり会えるかもだ) しかし、物事はそうそう上手くは運ばない。 「た、退学したってどういうことだよ!?」 「今朝方、姫神秋沙の所持するレベル4『吸血殺し』の能力が失われたとの報告を本人から受けました。そのため、姫神秋沙を退学処分にし、本学の学生名簿より抹消、それに伴い寮も引き払って頂きました」 一体どこに不明な点があるのか、とでも言うような事務員の視線にイライラとしながら、垣根はアウレオルスに問いかける。 (どういうことだ、オイ。能力がなくなったって……) 〈おそらく『私』が『歩く協会』の機構を応用して姫神秋沙の能力を封じたのであろう。禁書目録救出の暁にはそのように処置する契約になっていたからな。しかし、憮然。学園都市では能力を失っただけで退学処分になるのか?〉 (あぁ、クソ食らえなシステムだろ。もっとも、それもエリート校に限った話だがな) 「それで、姫神さんはその後どちらに?」 心中の会話とは180度違う態度で事務員に質問する垣根。 「本日付けで園の方に転属になっています」 そう言って、事務員は学園都市内にあるとある施設のパンフレットを提示した。 所謂、置き去りと呼ばれる子供たちが集められた場所である。 (そういや姫神秋沙は孤児だったな……) 「分かりました、どうもありがとうございます」 丁寧に礼をしてパンフレットを仕舞うと、垣根は即座に回れ右をして道を戻る。 (ま、これで次の手掛かりは掴めた。まだ糸は切れてねぇさ) ところが、悪いことと言うのは、なかなかどうして続けざまに訪れるものである。 「……まだ来ていない、と」 「えぇ、午前中には学院を出たらしいのですが……まだ……」 困った顔で対応する施設の保育士に、垣根は張り付いていると言うより凍りついていると言った方が相応しいような笑顔を向けて言う。 「何か心当たりとか……」 「そう言われましても、こちらはまだ一度も直接顔を合わせたことすらありませんし……」 「……そうですか。ありがとうございました」 踵を返し、施設を後にする垣根。 (どーすんだぁオイどーすんだよコルァ! 姫神秋沙はどこで油売ってんだ道草喰ってんだ!) 〈ふむ。おそらく学院を出たものの、施設に行くのが何となく嫌になってそのままそこらを放浪しているのだろう〉 そういう癖のある女だった、とあっけからんと言うアウレオルスに頭を抱えつつ、現状を打開しようと質問を重ねる。 (姫神の行きそうなところに心当たりは……) 〈皆無だ〉 (……だろうな。っつか、じゃあそれこそ禁書目録の方なんてどうするつもりなんだ? 手がかりがないどころか、ひょっとするとイギリス清教に連れ帰られちまって、もう学園都市にはいねぇかもしれねぇぞ?) 言い忘れてたが俺ら能力者はそう簡単に外には出られねぇんだよ、と言う垣根に、アウレオルスはやはり落ち着いた様子で返す。 〈それはないな。私が『どの段階まで』禁書目録を救出したにしろ……『首輪』が外れたこと、魔道書についての知識がなくなったことをイギリス清教が自ら公言することはないであろう。そしてそうである限り、禁書目録は他の魔術協会にとって忌避すべき脅威であり、かつ格好の獲物でもある。そんな風に危険がいくらでも寄ってくる禁書目録だ。イギリス清教は彼女を学園都市から出すまい。ここは、魔術サイドにとっての中立地帯であるからな〉 (……だが、どの道学園都市のどこにいるかは分からないんだろ。つーか、そもそも発信機とか付けてねぇのかよ) 〈発信機……そうか、そうだったな〉 はっ、としたようにアウレオルスが声を上げる。 (? 何かあるのか?) 期待を込めた垣根の声に、アウレオルスが自慢げに答える。 〈当然。私をあまり甘く見ないことだな。三沢塾へ行け。鍵はそこにある〉 (お、おぉ分かったぜ!) だがしかし、二度あることは三度あるとはよく言ったものである。 「……んで、これが何だってんだ?」 垣根はアウレオルスに指示された三沢塾校長室(当然不法侵入した)に置かれた机のとある引き出しから、ビニルに入った二種類の髪の毛を取り出した。 一方は黒、もう一方は銀色で、どちらも随分長い。 〈姫神秋沙と禁書目録の頭髪だ〉 (そういう趣味が……) 〈否。魔術とは便利なものでな。持ち物からその持ち主の居場所を特定する術式があるのだ。それを使えば、二人の位置などすぐに分かる。思い知ったか、これが錬金術師・アウレオルス=イザードだ〉 (…………あー) 垣根は脳内で誇らしげに騒ぐアウレオルスに、ビニル袋を揺らしながら問う。 (――んで、誰がその魔術を使うんだ?) 〈? 明然。私に決まっているであろう〉 (ほぅ、俺の脳味噌に寄生してるテメェが、どうやって魔術を使うって?) 〈…………………………〉 (確か超能力者の脳味噌じゃ魔術は使えねぇんだよな。三沢塾の学生は再生出来たからいいが俺はそうはいかねぇし、俺の脳がダメージを受けた結果テメェが消滅するっていうシナリオも有り得るぜ?) 〈………………………呆然。そういえばそうだったな〉 目を閉じれば、そこには脂汗を滝のように流しているアウレオルスの姿がありありと見えた。 〈だ、だが! そうだ! 禁書目録の『自動書記』なら、能力開発を受けていない人間に代わりに魔術を行わせることができ――〉 「だぁからその禁書目録を探してんだろうがこのスカシイケメンがぁぁぁぁぁ!!!!」 声に出して叫びながら、垣根は脳内でアウレオルスに向かって右ストレートの突っ込みを思いっきりお見舞いした。 (あー、もう止めよっかなー! 手伝ってやるの止めよっかなー!) 〈やれやれ、最近の若者はすぐに飽きただの何だのと言って物事を放り出す。嘆かわしいことだ〉 (誰のせいだと思ってるんだ、アウレオルスさんじゅうはっさい?) 〈……貴様、今の思考を間違っても漢字変換するなよ〉 垣根帝督は無駄足を踏んだとばかりにさっさと三沢塾を離れ、第七学区を放浪していた。 しかし今回ばかりは手掛かりも何もなく、本当にあてもなく彷徨っているだけだ。 「こんなんじゃどう考えたって見つかりゃしねーもんな」 姫神秋沙の資料を広げ、声に出して溜め息を吐く垣根。 相変わらず頭の中には涼しい声が響いており、それが垣根のイライラを一層高めている。 アウレオルスの思考は全て垣根に伝わる訳ではない、と言っていたが、垣根の思考に応えるだけにしてはどうにも言葉数が多すぎる。 どうでもいいことでこちらのツッコミを誘う様子はまるで構ってちゃんそのものだ。 〈ふ……そこで突っ込んでしまう貴様にとやかく言われる筋合いはないがな〉 「カッコつけといて否定はしないんだな……」 呆れながらもぼそり、と無意識に突っ込みを入れてしまう優しい垣根くん。 すると、 「もぅ、痛いですよー」 前方から突如声が聞こえてきた。 (痛い? しまった、今の声に出てたか? 白昼堂々大通りで独り言言ってる人間がいたら、確かに痛い!) 「え、えーと、いやこれは……」 垣根はまだ見ぬ突っ込み主に弁明しようとするが、 「あれ、いない……?」 目の前に人影はない。 「こっちですよー」 再び聞こえてきた声の出ところを探って視線を下に下げると、そこにはピンク色の髪をした幼女が一人尻餅をついていた。 「まったく、先生にぶつかっておいて謝りもしないなんて、一体どこの学校の生徒ちゃんですかー?」 「先生……?」 どうやら資料を見ながら歩いているうちに衝突してしまったようだ。 幼女は、立ち上がりながらよく分からないことを愚痴ったかと思うと、ふと垣根の持っている資料に視線を寄越した。 「姫神……秋沙……?」 「! テメェ、こいつのこと知ってるのか!?」 つい、語調を荒げてしまう垣根。 「むむぅ。度々先生に向かって失礼な子ですねー。でも、その様子だとやっぱりこの子を探しているんですねー。迷子ですか?それとも家出?」 対して、幼女は慌てた様子もなく垣根の手から資料を引ったくる。 「……あー、まぁ家出みてぇなもんだ」 正確には家を追い出された後、新しい家に行かずに放浪しているのだから、家出の真逆と言えなくもないが。 「で、テメェはこいつについて何か知ってんのか?」 「いいえ、この子のことは今はじめて知りましたが……先生、この子を捜すの、手伝えると思いますよー?」 そう言って悪戯っぽく笑う幼女。 この幼女こそ、四度目にしてようやく垣根の前に現れた救世主であったのだった。 「マジでか……」 〈恟然。マジ出島〉 突如現れた幼女――その後の自己紹介で月詠小萌と名乗った幼女は、実は成人女性で、学園都市内のとある高校の教師であった。 それも確かに驚きの内容だったが―― 「えっへん。言ったとおり、ほら、もう姫神ちゃん見つけちゃったのですよー」 無い胸を張って威張る月詠の指し示す先――人気のない児童公園のベンチに、大きな旅行用カバンを抱え、いつかと同じ巫女服を着た姫神秋沙の姿があった。 心理学の応用で家出した子の行動パターンなどを読み、そういった子供達が溜まっていそうなところに赴き、これを保護する――そんなことを『趣味』と言ってのけた月詠に半ば押し切られる形で(どうあっても姫神の資料を放そうとしなかった)彼女を姫神探しの一行に加えることにした。 大して期待はしていなかった垣根とアウレオルスであったが、姫神の資料を一読し、数分だけ考えた後月詠が提示した『候補地』。 数あるそれらの始めの二カ所目を巡ったところで、垣根たちは早速姫神秋沙の姿を発見してしまったのだ。 「それで、どうして姫神ちゃんを探していたんですかー?」 下手をすれば自身より年上に見えかねない少女をちゃん付けで呼び、月詠は垣根に問いかけてくる。 「ちょっとした野暮用だ」 「んー、不純なことじゃないですよねー?」 「全然、全く」 食い下がる月詠を適当に切り捨て、垣根は姫神に近づいていく。 「……!あなたは。……。いえ。何でもない」 垣根に気づいた姫神が、微妙な反応をする。 垣根の顔には見覚えがあるが、垣根は姫神のことを覚えていない筈であるということに思い至ったのであろう。 「久しぶりだな。姫神秋沙」 勿論実際は姫神のことを覚えている――思い出している垣根は、臆することなく少女に声をかける。 「!? あなたは。アウレオルスに。記憶を消去された筈」 「だったんだけどな。色々あったんだよ。今日はテメェに用事があって来たんだ……?」 そこで、垣根はあることに気づいた。 (そういやアウレオルス。姫神のその後を見るって話だったが、俺は実際何をすればいいんだ?) 〈言っていなかったか。簡単。私が姫神秋沙の能力『吸血殺し』を封じたとすれば、『歩く教会』の機構を利用した何かしらの霊装を姫神に持たせている筈〉 (だが見た感じ何も持ち歩いちゃいねーみたいだぞ?) 〈手に持つような物ではあるまい。身体から離してしまった途端に能力が再発してしまうのだからな。おそらく服の内側に隠してあるか、服そのもの、あるいは装身具といったものであろうな。だが不都合は無い〉 (何か見抜く方法でもあるのか?) 〈当然。今から私が伝える通りのことを姫神秋沙に言えばよい〉 (了解) 体感時間では数秒の遣り取りを脳内で済ませ、垣根は改めて姫神に向き直る。 「あー、用事ってのはだな……」 〈服を脱げ〉 「服を脱げ」 「…………………………」 「…………………………」 女性二人、どん引きである。 (って、全然不純じゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!! 何言わせんだコラァァァァ!!!) 〈明然。不純な意図などない。霊装であるか否かなど、直接見れば魔術を使わずともすぐに分かる。故に衣服や装身具の提供を訴えただけだが?〉 (言い方ってもんがあるだろうが! 横柄なんだよ! 言葉数少なすぎんだよ!) 〈それが私のスタンスだ〉 (知らねーよぉぉぉぉぉぉぉ!!) 垣根が脳内で緊急会議を開いている間に。 「……垣根ちゃん……それは……何というか……余りにも露骨ですよ……」 月詠は携帯電話に手が伸びるまで後少しと言った雰囲気。 「あの時の仕返し? だとしても。頷くわけにはいかない。女として」 一方姫神はベンチから立ち上がると、どこからかスタンガンとしても使える学園都市製の特殊警棒を取り出し、垣根に向かって突き出してきた。 「あー、いや。ゴメン、今のは言い間違い。脱げじゃなくて、服を貸して欲しいというか……」 「私の服を。着たいと言うこと?」 「どうしてそうなるっ!?」 〈文脈的に正しい読みとり方だと思うが〉 (その一文目から間違ってんだよ! テメェのせいでな!) いちいちアウレオルスに付き合ってやる垣根も垣根だが、当然その議論は姫神には伝わらない。 「問答無用。女の敵は。魔法のステッキで。成敗」 言い、姫神が魔法のステッキもとい警棒を振り上げる。 〈よし、向こうが先に手を出したぞ。正当防衛と称して適当に揉み合って服を脱がせ。後は私が何とかする〉 (何ともならねぇよ! 俺の人間としての尊厳が真っ逆様に焼却炉行きだよ!) 思いながらも、垣根は左手に『未元物質』の籠手を出現させ、振り下ろされる警棒に向かって叩きつける。 「――!?」 何の抵抗もなく姫神の手から弾き出される警棒。 姫神は高圧電流が流れており、ちょっと触れるだけでも失神しかねないそれを弾かれたことに驚愕しているようだが、何のことはない、絶縁性の『未元物質』で籠手を形作っただけである。 「……。私を。どうするつもりなの」 武器を失い、後ずさる姫神。 だがその背中はすぐに、公園に設置された自販機に触れてしまった。 〈行け。今が好機だ〉 尚も阿呆なことを叫ぶ脳内の声に、垣根は。 ドンッ、と自販機を叩き、 「……黙れよ」 声に出してアウレオルスを諫める。 「………………………」 すると、何故か小さく抗議していた姫神の声がなくなった。 それに気づいて垣根が視線を下げると、 (……おい、アウレオルス。もしかしてこれじゃないのか?) 姫神の胸元に、ネックレスのようなものが架かっているのが見えた。 垣根は空いている右手をネックレスの紐部分に伸ばし、それを引き上げる。 すると、その先には十字架を模したアクセサリーのようなものが繋がっていた。 〈昭然。間違いない。これが姫神秋沙の『吸血殺し』を封じている霊装だ。確かに『歩く教会』の機構を利用している。だが私の作品ではないな。この手際は……禁書目録か? 彼女に製作を依頼したということなのか……〉 ぶつぶつと呟くように思考するアウレオルス。 (ま、何にしろ姫神との契約は果たせてたってことだろ。しかも禁書目録がこいつを作ったってことは間違いなくテメェは禁書目録と会えてる。嫌な可能性は見えないぜ?) 〈……そうだな。私なら霊装の製作も自分でこなすと考えていたが……禁書目録の方から申し出たということもあるだろう。問題はない〉 思うところがあったようだが自己完結したらしいアウレオルス。 問題がないと言うなら、ひとまずこれで垣根の役目の第一段階は終了である。 「………………………」 「………………………」 〈この、あからさまに不審な目で貴様のことを見つめている姫神秋沙と、今にも携帯電話で人を呼びそうな月詠小萌をどうにかしたらな〉 (…………テメェが言うな) 垣根はまず姫神に事情を話した。 『脳に寄生するアウレオルス=イザード』という事象を説明して理解してもらえるか心配だったが、もともとアウレオルスの魔術に触れており、自らも『吸血殺し』という異能を持っているためか、 「そう」 の一言で処理されてしまった。 何にしろ、垣根の意図せんことはきちんと伝わったようで、携帯電話を握りしめてわなわなしている小萌には、姫神の方から適当に説明してもらった。 「知り合い。スキンシップ」 ……それにしてもあんまりな説明ではあったが。 「もう、垣根ちゃん。紛らわしいことしないでくださいよー」 ……信じる月詠も月詠であったが。 「まぁ、やっとゆっくり話が出来るようになったからいいか」 「元はと言えば。あなたのせい」 「俺って言うか、アウレオルスな。そこは譲れねぇ」 的確な姫神の指摘をかわしつつ、垣根は姫神に言う。 「分かってもらえたと思うが、俺はアウレオルスのアフターサービスのためのただ働きのバイトだ。それでも頭の中からアウレオルスの五月蠅ぇ声を消去するためには仕方がねぇんで付き合ってやってる」 「えぇ。了解」 「そんじゃ、改めて聞くが……テメェのその十字架のペンダント。そいつはアウレオルスがテメェとの契約を果たすために、テメェに提供した『吸血殺し』封じのアイテムってことでオッケーなんだな?」 最初からこうやって聞けばよかった、と阿呆なことを言ったアウレオルスを恨みつつ姫神の返答を待つが、 「……………………」 姫神はこちらを見据えたままなかなか答えようとしない。 「どうした?」 「アウレオルスが。本当にあなたの脳内に住んでいるなら。自分のしたことくらい分かっている筈。どうして。そんなことを確認するの?」 「ん、あぁ」 確かにそれは気になるところであろう、と垣根はアウレオルスからの受け売りの知識を伝える。 「どうにも俺の中にいるアウレオルスには、俺が三沢塾に殴りこみに行った日――つまりは8月3日時点でのアウレオルス=イザードの知識と経験しかないらしい。だから、野郎は目的が果たされたのかどうか、直接知ってる訳じゃねぇんだ。ま、その十字架を見た時のアウレオルスの反応から察するに、問題はなさそうだが」 「…………そう」 何かを噛み締めるようにゆっくりと頷く姫神。 「……? もしかして、何か不具合でもあったのか?」 その様子に引っかかるものを覚えた垣根が問うが―― 「……何も」 俯いたまま。 ゆっくりと、しかししっかりと。 姫神は告げる。 「全て。あなたの言うとおり。この十字架は。私のチカラを封じるために。アウレオルス=イザードが与えてくれたもの。私は。アウレオルスに救われた」 言い終えてから、姫神は顔を上げて再度垣根を見る。 その顔は――かつて見た無表情なそれと寸分違わないように見えた。 (……だってよ) 自身と同じことを聞いていたであろう、脳内の三沢塾校長室のティーテーブルに座するアウレオルスに確認を取る垣根。 〈あぁ。了解した。協力に感謝する〉 それに、先ほどまでの釈然としない表情から解放されたアウレオルスが頷き返す。 (まだ、もう一個残ってるだろうが。むしろそっちが本題だ) 〈的然。分かっている〉 (ま、ここでもまた新たな問題が浮上するんだがな……) 思いながら、つい口に出して溜め息をつく垣根。 「ったく、禁書目録は一体どこにいるんだ?」 すると、 「インデックス……?」 「インデックスちゃんがどうかしたんですかー?」 その呟きに二通りの返答があった。 「なっ、テメェら禁書目録を知ってるのか!?」 思わず問うた垣根に、 「ええ」 「知ってますよー」 と当たり前だと言わんばかりに返答する姫神と月詠。 〈……楽あれば苦あり、苦あれば楽あり、か〉 どうやら今度はそれほど苦労せずに済みそうだ。 「第七学区の病院……あぁ、そこなら分かる。って、禁書目録は今入院してるのか?」 姫神と月詠から禁書目録の居場所を聞き出した垣根は、その予想外の答えについそう聞き返した。 「いいえ」 「入院してるのは上条ちゃんの方ですよ」 「上条?」 横から月詠が垣根の知らない名前を出す。 脳内のアウレオルスも、どうやらその名前には覚えがないようである。 すると、無表情ながらどこか言いにくそうな様子で、姫神が口を開いた。 「……上条当麻は。インデックスの。今のパートナー」 「………………」 チラリ、と脳内で対面の席に座っているアウレオルスの顔色を窺う。 それに気づいたのか、アウレオルスは垣根の顔を真っ直ぐに見ると、相変わらずの涼しげな調子で話し出す。 〈当然。禁書目録にはその年ごとにそばに寄り添うパートナーが存在した。一年しか記憶の保たない禁書目録と、ずっと一緒にいられるだけ強い者などいなかったからな。今は、その上条という人間がその位置にいるだけだ。何も不思議はないし、不都合もない〉 (だがよ、テメェが『首輪』の破壊に成功していればもう禁書目録は記憶を失うことはない。つまりその上条って奴はこれからずっと……) 〈当然だと言ったであろう〉 垣根の言葉を断ち切るように、アウレオルスが言う。 〈それで良い。例え禁書目録が私という存在の一切を忘れたままに救われようとも、私のことを思い出すことなく日々を過ごそうとも。彼女を助けることが出来れば、それだけで良い〉 (……とんだエゴイズムだな) 吐き出すような垣根の言葉に、 〈否定はせん。私は、彼女を救うことで自身を救おうとしている。或いは、救おうとしていた、か。……だが、貴様にそんなことを言われるとはな〉 (…………何だよ) 〈言ったであろう、嘘は吐けないと。貴様は私と同類。私と同じ思考を持つ。そんな言葉を吐きつつも、真実貴様は私の思考に賛同している〉 (…………ちっ) 〈感謝する〉 (っ………………) 〈守るべきものを第一に考え、そのために自身の相手への想いさえ押し殺してしまう不幸。自身と相手との時間さえ犠牲にしてしまう不幸。私と同じ思考をつが故に、そのことを知っている貴様だからこそ――私に意見することで、慰めようとでもしてくれたのだろう〉 ――貴様相手になら、吐き出しても良いのだと。 (……みなまで言うなよ、俺が凄い恥ずかしい奴みたいじゃねぇか。つーか、そう言えるってことは、テメェがトレースしたその俺の考えは丸ごと余計なお節介だったってことか) 〈覚悟していたことであるからな。それでも――嬉しくはあった。だから、感謝する〉 (…………禁書目録の居場所が分かったんだ。さっさと行って用事済ませて、テメェもどこへなりとも消えやがれ) アウレオルスの言葉には応えず、垣根はそう締めくくると精神世界から現実世界へ戻ってくる。 目の前には、アウレオルスに代わって仏頂面の姫神秋沙が立っている。 垣根の反応を窺っているのだろう。 「……そっか、了解。アウレオルスの用事は禁書目録に会うことだ。だれがパートナーだろうが関係ねぇよ。情報サンキューな」 垣根は、姫神に一方的にそう言うと、返答を待たずに公園を出た。 ――向かう先は、決まっている。 「………………」 公園を後にする垣根帝督。 その後ろ姿を、姫神秋沙は無言で見送っていた。 「どうして嘘吐いたんですか?」 隣から(と言うには大分高さが足りないが)、月詠が声をかけてくる。 「……バレてた?」 「先生は先生ですからねー。嘘吐いたって簡単に分かっちゃうんですよー」 相変わらずの無乳を強調するように胸を反らす月詠に、姫神は静かに語り出す。 「……あの人は。あの子を救いたかったんじゃなくて。本当は。あの子に救われたかった」 「………………」 抽象的な姫神の語りを、月詠は一切口を挟まずに、しかし真摯に聞く。 成る程確かに、その様は教師に相応しい。 「それでも。あの人はあの子を救うための努力をした。自分が救われるために努力をした。……対して私は。あの人に頼りきりで。あの子だけでなく私も救ってくれると言ったあの人に頼りきりで。私はあの人には何もしてあげられなかった。交換条件はあったけれど。それは私の努力によるものではないし。何よりその条件すら私は満たすことが出来なかった」 一度区切って、姫神は噛み締めるように言う。 「だからせめて。例えあの人の残滓に過ぎないとしても。その心を救ってあげたかった。私を救おうとしてくれたあの人の心を。――嘘を吐いてでも」 姫神が、無表情のまま涙を一筋流した。 アウレオルスは、偽りの物語の中で消えていく。 その筋書きが例えハッピーエンドだとしても。 アウレオルスが思い残すことなく消えることが出来るとしても。 おそらくアウレオルスはバッドエンドであれ真実を知りたかった筈であり。 それを偽ったのは――紛れもなく姫神自身なのだ。 「…………姫神ちゃんは、優しい子ですね」 月詠が、姫神を抱きしめる。 ともすれば身長差から姫神の方が月詠に抱きついているようにも見えるが、月詠は構わず、静かに涙を流す姫神の背中を優しく叩く。 「今日は先生の家で一緒にご飯を食べましょう。行くところがないなら、行きたい所が見つかるまで、先生の家にいていいですから」 慈しむような月詠の言葉。 その母親のような優しさに触れて、 「…………ありがとう」 姫神は、少しだけ表情を綻ばせたのだった。 垣根帝督の十番勝負 第五戦 『姫神秋沙』 対戦結果――完勝(決まり手・ドンッ!「……黙れよ」) 次戦 対戦相手――『禁書目録』
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【種別】 魔術 【初出】 新約十七巻 【元ネタ】 あらゆる呪文の中でも特に有名な一つ ABRAHADABRA Wikipedia- アブラカダブラ 【解説】 かつてアレイスター=クロウリーが開発した術式。 アレイスターにはいくつか金字塔とされる魔術が存在するが、恐らくは世界で一番有名な呪文とされる言葉。 「オカルト信奉者を小馬鹿にする時」にさえ引き合いとして出されるほど有名かつ、浸透しているものである。 その効果はいわゆる呪詛返し。呪いを逸し、あるいは送り返すという、魔術の中では特別珍しくもないモノである。 元となった本家「アブラカダブラ」の主な意味は上記リンクにあるように「私の言うようになれ」というもの。 文面のままに解釈すれば黄金練成並みに都合が良い効果を持つが、古来は「病気の原因となっている精霊の支配を弱めよ」という 治癒の術式としての側面が強かったようだ。 まるで鏡でも置いたかのように呪詛をそっくりそのまま返す様は、まさに「私の言うようになれ」という言葉の通りとも言える。 呪詛それ自体は珍しいものではなく、地球には指向性を持たない妬み・恨みといった、あるいは人為的に魔術で攻撃性を与えられたものも含め、あらゆる呪詛が飛び交い何重にも折り重なっているのだという。 アレイスターが行ったのはそれらの飛び交う呪詛を掴み、軽くひねって、特定の対象に方向を向け直すだけ。要は単なる受け流しである。 呪詛の発生源はアレイスターではないので、逆探知されるリスクが無い。魔力を練る必要もなければ、そもそも魔術を使えると明かす必要すらない。 第一一学区に隠されていたA.A.A.オリジナルパーツには、逆三角形に一定のアルファベットを敷き詰めた印章の護符が仕込まれており、これを起動しようとした御坂美琴がこの攻撃を受けて大量に吐血。 込められた呪詛は「汝の死に雷光を与えよ」。 最強の電撃使いに見舞うにはあまりに皮肉の効いた『人間』の呪詛は、しかし御坂美琴を殺すまでには至らなかった。
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【種別】 人名 【元ネタ】 メイザース派「黄金の夜明け団」改め、「アルファオメガ」に在籍していた実在の魔術師。 後にモイナ・メイザースとの派閥争いで団を脱退し、魔術団体「内光協会」を設立する。 魔術に心理学を組み込み、自身の結社に通信教育制度を採用するなど先進的な指導を行った。 Wikipedia - ダイアン・フォーチュン 【初出】 新約十八巻 【CV】 立花理香 (ゲーム『とあるIF』) 【解説】 『黄金夜明』に所属していた魔術師。 1900年ブライスロードの戦いを経て失敗の呪いを受けた「黄金」に、 ミナ=メイザースから「手厚い」保護を受けて1919年に入団し、再興できない結社の復古を無理矢理目指した非業の魔術師。 150cmに届かない小柄で色白な体軀と赤いショートの髪に、 白ベースのふわふわしたドレスを着た中学生ぐらいの見た目の少女。 霊媒体質であり、限界を超えたストレスやショックを受けるとトランス状態に陥ってしまう。 可憐な容姿ながら、腐っても『黄金』の魔術師らしい徹底的な個人主義者。 自分の仕事はあくまでも「ちょっと人の滅びを先延ばしして、かつ、できる限り後味を良くする事」だと述べ、 「人類はどこかで必ず滅びる以上、人類の破滅そのものを特に恐れない」と断言している。 結社内では魔道書の執筆やオカルト雑誌への寄稿、文通に通信教育、講演会といった、旧来のやり方に縛られないマルチな活動を行なっていた。 無駄の多い古き因習を打倒してスマートで新たな術式を組み上げると主張していたが、 彼女の編纂した魔道書はもはや「黄金」の守備範囲を超え、その教義はオリジナルの域なのではと結社内の魔術師からも首を傾げられる程だったらしい。 なお、結社の縄張り争いが原因で師匠筋だったミナを本気で怒らせてしまい苛烈な魔術攻撃を受けたことがあるため、 彼女を「お姉さま」と呼びながらも恐怖心を抱いている。 娘々によると 「家の周りを黒猫だらけにされたり、知らぬ間に背中一面肉食獣の爪で引っかかれたり、 虎と見紛う黒猫の幻影を出されたりした」らしい。 あのミナの性格を考えるとどれだけの怒りを買ったのだろうか。 戦闘では黒い箱型の「自己情報無限循環霊装(アーキタイププロセッサー)」に術式を突っ込み、 「伝言ゲームの変遷・混淆」によって本人でも「何が出るかわからない」魔術を操ることで、 敵方の作戦や戦術を崩して運任せのランダム対決に持ち込む。 彼女自身もぶっつけ本番のアドリブ魔術を強要されるのだが、 純粋な強運を武器として「予測不能の状況(インビジブルモンスター)」を常に味方につけて戦い、 相手のあらゆる策に「悪い方の意外性」を与えて瓦解へと追い込む。 ネフテュス曰く、魔神にも何とか噛みつけるかもしれないが、 彼女の場合は他の「黄金」勢と違って純粋な運同士の対決になる以上、魔神とは相性がかなり悪い。 「初手(一発目)で弾けるロシアンルーレット」に例えられている。 クロウリーズ・ハザードを殲滅した後、ネイキッドショッピングセンターに逃げ込んだアレイスター達を狙い襲撃するが、 極超音速衝撃波圧縮打撃砲によって撃墜され、 さらに仮面舞踏会の君が召喚したタフサーサーラスの一撃に巻き込まれる。 重傷を負って倒れていたところを浜面に救助され、 滝壺を守るためウェストコットやアニーに立ち向かった彼に恩を返すため、結社の仲間を交渉で退かせる。 しかし、新約二十一巻ラストでアレイスターに龍脈のエネルギーが乱された事によって 他の「黄金」勢と同様に存在が消滅。 浜面の尽力で再び姿を現し、エリザードに対して堂々と自分を売り込んで 空席となった最大主教(アークビショップ)に就任した。 そして浜面を恩人・友人と認め、改めて交友を結んだ。 その後、R&Cオカルティクス討伐のための学園都市・イギリス清教共同作戦『オペレーション・オーバーロードリベンジ』に関与。 作戦失敗後、統括理事長に就任した一方通行と接触し、 「浜面仕上の身の安全さえ守られる限り、イギリス清教は学園都市に協力する」という脅迫的な協力条件を提示すると、 一方通行の目的を達成するため、ロサンゼルス市に『妹達』を派遣することを提案した。
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※画像クリックで拡大。 (とある魔術の禁書目録8巻、巻末ラフ設定画集より) (2006/電撃BUNKOYOMIより) (『とある魔術の禁書目録たん2』より) (『とある魔術の禁書目録ノ全テ』より) (『とある魔術の禁書目録ノ全テ』より) (『とある魔術の禁書目録ノ全テ』より) (『とある魔術の禁書目録ノ全テ』より) (2009/C79/電撃家/超電磁砲描きおろし4コマより) (電撃文庫MAGAZINE vol.11/成田氏との対談より) (電撃文庫MAGAZINE vol.6/特別インタビューより) (GC版『とある魔術の禁書目録』より/上:ガンガン本誌版、下:コミックス7巻版) (『4コマ公式アンソロジー とある科学の超電磁砲×とある魔術の禁書目録』より) (GC版『とある魔術の禁書目録』5.5巻より) (GC版『とある魔術の禁書目録』5.5巻より) (GC版『とある魔術の禁書目録』11.5巻より) (GC版『とある魔術の禁書目録』11.5巻より) (GC版『とある魔術の禁書目録』11.5巻より) (『とある科学の超電磁砲』6巻より) (『とある科学の超電磁砲』6巻より) (電撃の缶詰2011年2月号より) (アニメ『とある科学の超電磁砲S』DVD5巻特典解説書より) (『とある日常のいんでっくすさん』1巻カバー裏より) (『とある日常のいんでっくすさん』3巻カバー裏より) (『とある日常のいんでっくすさん』第41話より) (『とある科学の一方通行』第19話より) (『とある偶像の一方通行さま』1巻おまけ漫画より) (『とある偶像の一方通行さま』1巻おまけ漫画より)
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とある魔術の禁書目録 「並行世界(リアルワールド)」 朝。7時ジャスト。 上条当麻は強い日差しに目が覚めた。すっかり秋の季節になって少し肌寒い早朝。 「…ん、んーっ」 体を動かし、目をこすりながら起き上ろうとした。薄目で時計を確認する。 (…まだ7時じゃねーか。あと15分くらいはいいだろー) 昨日のうちにインデックスの朝食のためのご飯の仕込みは終わっている。おかずも昨日の残りがある。冷凍食品の在庫も問題ない。 (むにゃむにゃ、あと15分は寝かせてくださいましー) ん? 上条当麻は、ふと気がついた。 なにやら美味しそうなにおいが漂っている。コトコトと鍋の音が聞こえてくる。 (俺、タイマーをセットしておいたっけ?) そんなはずは無い。上条当麻は炊飯ジャーのタイマーしかセットしない。そう疑問に思い、布団を跳ね除けて起き上がろうとして――― 「へっ?」 上条はベッドから転げ落ちた。 「い、ぎゃあ!?」 盛大に頭から転げ落ちる上条。不器用な前転によって頭に激痛が走った。 「い、ってー。って、ベッド?え、え?ってここドコ!?」 上条は辺りを見回した。 ここは部屋の一室。クリーム色のカーテンから朝日が仕込んでいる。自分が寝ていたであろうベッドは全く見覚えがない。先程見たデジタル時計も自分が持っている時計とは違う。 自分の着ているパジャマらしきものも見覚えがない。床はフローリングだが、よく磨かれていて掃除が行き届いているのが分かる。ダークブラウンのクローゼットに張り付けられている等身大の鏡。ベッドの反対側にはちょっとばかり値が張りそうな机に最新式のパソコンまである。どこからどう見ても知らない場所だった。俺は寝ぼけているんじゃないのかと思って、 上条は自分の頬をつねってみた。 痛い。 (ちょ、ちょっと待て!俺は家に帰ってインデックスが寝静まってから米を研いで、朝食の確認を取って、自分の布団に潜ったはずですがー!?一体これはどうなってんだー?た、確かに昨日は自分の布団に…) と、朝から自分の置かれた状況に混乱しかけていたその時。 ガチャリとドアが開いた。 「とうま、大丈夫?さっき大きな音が聞こえたけど…」 そこには、白いエプロンを着た可愛らしい銀髪碧眼の少女が立っていた。 「へっ?」 インデックス、と呼ぼうとしたが上条当麻は声が出せなかった。今、上条の目の前に立っている少女はインデックスだろう。居候しているシスターの声を聞き間違えるはずがない。 しかし、とても奇妙だった。なぜインデックスはあの修道服を着ていないのか。なぜ普段着の上にエプロンを羽織っているのか。なぜそんなにインデックスは成長して可愛らしい女の子になっているのか。 「インデックス、だよな?」 そう呼ばれた少女は首をかしげた。 「とうま。まだ寝ぼけてるの?私以外誰がいるのよ。まあ、朝食はあと5分くらいで出来上がるから、さっさと顔でも洗ってきたら?」 「は、はあああああぁっ!?」 (さっき、何て言った?イ、インデックスが、あ、あさ、朝飯をぉ!?手伝いもまともしてくれないあのインデックスが朝飯を準備してるだとぉぉぉっ!?) 上条は両手でインデックスの肩をつかんだ。きゃっ、と可愛らしい声を出していたがそんなことに意識は向かなかった。 「お、おいっ。インデックス!一体これはどうなってる?お前が朝食を作っただと?それもおかしいが、まずココは何処だ!?俺たち昨日は俺の家で寝てたよな?「明日は魚がいい」とか言って俺に三枚下ろしを頼んでたじゃねーか。しかも、何でそんなに背伸びてんだよ。150cmぐらいだっただろ?御坂より背高くないか?お前」 次々と溢れる疑問の数々。おかしい、絶対おかしい。ドッキリにしては手が込みすぎている。一体何が起こった。そう言おうとして、上条当麻はふと我に返った。 「と、とうま。本当にどうしたの?とうまが言ってること全然分かんないよ。私はインデックスだし、ここはとうまの家だし、ご飯だって半年前から私が時々作ってるじゃない」 ―――――――な、んだって? インデックスは上条の顔をじろじろと見ながら少し困った顔をしていた。大きな碧眼の瞳。きれいな女の子の顔を間近で見ているだけで上条は変な気分になってきた。当麻はあわてて目をそらした。 「す、すまん。インデックス。ちょっと変な夢を見ててな。つ、つい」 「…とうまが寝ぼけてるのはいつものことだけど、今日は結構ひどいね。熱でもあるの?」 おでこに手をあててきた。上目づかいで顔をうかがう仕草といい、インデックスのエプロン姿といい、女の子特有の香りといい、かぁっと上条の顔が赤くなってしまう。 「だ、大丈夫ですって平熱平穏平凡な高校生上条当麻ですよどんなことが起ころうともびくともしないバッチグーでストロングな心の持ち主上条当麻です!」 「うん、いつものとうまだね」 にっこりほほ笑むエプロンシスター。上条は不覚にもドキッとしてしまった。 「じゃ、じゃあ、顔洗ってくるから」 「うん」 そう言ってインデックスは長い廊下を歩きだした。奥に居間があるのだろう。 「あ、あのインデックスさん?」 「なに?」 「洗面所ってどこにあるんだっけ?」 「…とうま、病院行ったほうがいいかも」 さて、状況を確認しよう。 また世界が変わっている。「御使堕し」とはまた種類が違うようだが今の状況が異常なのは確かだ。現状を鑑みるに上条当麻は未来に来ているらしい。 上条は驚きの連続だった。鏡を見ると顔つきが少し刀夜に似てきており、身長が180cm程度もあった。髪は短く、ハードタイプのワックス(いつも使っているものより高価な品)を使ってツンツンした髪型にしてもしっくりこない。仕方なく当たり障りのない髪型に変えた。ここは2LDKの一室で最新式のTPSセキュリティになっているアパートであり、上条の家とはエコノミークラスとファーストクラスくらいの違いがある。居間に行くとインデックス作の完璧な和風朝食。これがまた美味かった。(上条感覚的に)高級感あるクローゼットを開けると自分の通っていた高校とは違う制服があった。学ランではなく、(上条感覚的に)これまた高級感溢れる黒で統一されたブレザー。袖にある金色のラインや左胸にあるエンブレムがなければスーツに見えそうな制服。そしてそのエンブレムはこの学園都市の生徒ならだれもが知っているマーク。 双頭の龍に一本の剣の刺繍。 「な、ななな長点上機学園!?」 流石の上条当麻も腰を抜かした。 無理はない。長点上機学園とは学園都市最高峰の難関校。大能力者(レベル4)以上の能力者、なおかつ軍事的分野に突出した能力を有していることが最低条件であり、その上いくつもの学園都市最難関の試験を突破するか、一定以上の地位を持つ有権者15名以上の推薦状が必要なのだ。ちなみに上条は無能力者。入学どころか受験条件すら満たしていない。なぜ俺がこの制服を持っているのか。俺は長点上機学園の生徒なのか。はたまた、今の俺はコスプレに目覚めただけなのか。上条の疑問は増える一方だった。 二十分ほど部屋や洗濯機の中、ベランダと探し回ったが、いつもの学ランが何処にもない。仕方なく長点上機学園の制服を着ることにした。ワイシャツが背丈にピッタリである。本当に信じられないことだが今の俺は長点上機学園の生徒らしい。 「…ネクタイの締め方が分からねぇ」 ポケットに仕舞っておくことにした。 そんなこんなで上条はアパートから飛び出した。 場所は第7学区の高級街。学園寮では無いらしい。長点上機学園の場所は知っているので地理感覚に困ることはなさそうだ。 「って、困ることばっかりだよ!!」 不慣れな制服に戸惑いを覚えつつ、とりあえず学園を目指した。上条の高校を訪れようとしたがこの制服では場違いだ。怪しまれる。土御門の家に行って直接確かめるのが良いが、前回のように土御門がこの変化に巻き込まれていないという保証はどこにもない。上条の家は学生寮であり、旧型だがいっぱしの監視カメラとセキュリティはある。不用意に近づくのは危険極まりないだろう。そんなことを考えていると常盤台中学の校門に差し掛かっていた。視線を感じるなと思いつつ周りを見渡していると常盤台の生徒がチラチラと上条のほうを見ていた。 (…やっぱ目立つよなぁ。この制服) 長点上機学園。五指の頂点に立つ学園。同じ五指に入る常盤台といえどブランドの点でも長点上機学園には翳る。そんなライバル校の生徒が登校時に名門学校の校門を横切るのだ。注目されて当然と言えば当然なのだが。 「………はぁ、なんか、不幸だー」 名門学校に入学して周囲からチヤホヤされる人たちが羨ましいと思ったことはあるが、実際にそうなってみるとそんなに良い気持はしない。むしろ鬱陶しく感じさえする。 トボトボと歩くこと数十分。長点上機学園の時計塔が見えてきた。周囲には登校している長点上機学園の生徒がちらほらと見え、生徒同士は視線が合う度に軽い会釈をしている。挙動不審だと怪しまれるので、周りの真似をしてみることにした。向かい側で歩いている長点上機学園の男子生徒と目があった。中学生と思われるがメガネを掛けていていかにも優等生らしい風体をしている。軽く顎を下げ、挨拶した。 ビクッ!と驚いたように上条を見てきた。そして体を震わせると何度もこっちに頭を下げ、走るように長点上機学園に向かっていった。 驚いたのは上条のほうだ。 (な、なんか間違ってたかー?俺。も、もしかしてネクタイしていないだけで変に思われたとか?) 後ろからゴロゴロと奇妙な音がした。 「すいませーん!道を開けてくださーい」 振り返ると人込みをかき分けながらローラーシューズで登校している女子生徒が見えた。 彼女も長点上機学園の生徒らしい。左胸に双頭の龍と一本の剣の刺繍がある。通り過ぎる直前、おはようと上条は声をかけた。彼女はゴーグル付きのヘルメットを着用していて、ゴーグルを上げながら挨拶をしようとしたところ 「あっ、おはようございまーす…って、えええええ!?ってて、きゃああっ!」 と、コントロールを失い盛大にズッコけた。 「あぶねぇ!」 上条は咄嗟に彼女の体を掴み、庇うように地面に叩きつけられた。 「うぐっ!?」 「あひゃ!」 背中に強い衝撃が走る。腹部に妙に柔らかい感触を感じるが、今はどうでもいい。 「…っ、大丈夫か。お前」 「…えぇ、あ、はい。すいませ…って、きゃああああああああっ!!」 「ど、どうかしたのか!?」 へたり込む少女は上条の顔を見るなり頬を真っ赤にすると、あわわわ、と慌てふためいて叫んだ。 「い、いいいいえ、か、かかかか上条様に、あ、朝からお逢いになれるだけでは無く、た、たた助けてもらえるだなんてぇぇ!」 ………………………………………………………………………………………………はい? 上条当麻は凍った。 (か、かかかみ、かみ、上条「様」!?上条「様」だとおおぉぉぉ!?) 上条は限界メーターが振り切れそうだった。 「か、上条様!上条当麻様、ですよね!?本っ当に申し訳ありませんでしたぁ!わた、私は高等部1年A組の羽平くるると申しますっ!ああっ、助けてもらってのお礼がまだでしたね!ありがとうございますぅ!こ、ここのお礼はまた後日改めてお伺いしてもよろしいでしょうか!?上条様とこうしてお話ができるだけでも感激なのに、身を呈してまでこんな私を助けてくださるなんてぇー、きょ、今日はとっても幸せな一日になりそうですぅ~」 周囲が引くほどのマシンガントークを発する女子を眺めながら、上条当麻は彼女を観察していた。 金髪でウエーブがかかったロングヘアーでインデックスと同じ透き通るような碧眼。西洋人風の女子でローラースケーターの格好がよく似合う生徒。なかなかの美少女だ。 うーむ、Aの75か76か。洗練された上条的触感(?)センサーで詳細なバスト値を測定していたところ 「あ、あのー上条様?」 「!…っは!?な、何でごさいましょう!私め上条当麻は貴女のバストがAの75か6だなんてちっとも思ってもいませんが!」 「……Aの75ですけど」 「って、答えるなよ!」 一体何なんだこの子。というかこの世界は一体どんな設定になっていやがる。俺が「様」扱いされるなんて夢にも思ったことはねぇぞ。ま、まさかこれは俺も知らない内なる願望が反映された世界だったりして―?!と、妄想に入り浸っていた。 「上条様!本当にありがとうございます!このお礼、必ずさせていただきますから!!」 万延の笑みで大きく頭を下げると、鼻歌を歌いながら何度もこっちを振り向いて走り去っていった。 若干引きつった笑顔で手を振る上条。 「…何だった。一体」 嵐が過ぎ去ったように周囲からの視線が薄くなってきた。 まあいい。と、学園に足を向けた瞬間――― 「とう、まっ!」 いきなり腕に絡みついてきた。それまたすんげー美少女が。 「どァあっ!?」 肘の辺りにマシュマロのような柔らかい感触を感じた。 「当麻はどーして私が目を離したすきにすぐ女の子と仲良くなるのかなぁー?」 ちょっと待て!当麻?俺を呼び捨て?こいつ一体誰!?ダレ?ダレナノヨ!? しかし、声は聞き覚えがある。腰まである茶色いロングヘアーに、上条よりも十センチほど低い背丈。ベージュ色のブレザーに紺色のプリーツスカートを穿いている。Cの85程度(上条的触感(?)センサーより測定)のバストを持つスタイル抜群の少女。以上の情報から上条の脳内ではじき出した結果、 「美、美琴?」 「四日ぶりに当麻と会えると思ってすっごく楽しみにしてたのに、これだもんなー。もう慣れたけどね。当麻の浮気性には」 と膨れた顔で頬をつついてきた。 …何なんだ。こいつのデレッぷりは。 「ねえねえ、当麻」 「な、何だよ」 上条の頬に、ふいに唇が触れた。 ――――――――え? 「ちょ、ちょちょちょちょっと、なにすんだお前!?」 周囲の視線が痛い。公衆の前でキスするとは。 「当麻が浮気するからでしょ!」 「はい!?」 御坂と付き合ってんの――!?Why!?What for!?How many(?)!? て、天変地異だ。これは俺の願望でも未来でもねえ――!御坂と俺が?御坂と俺が!?カレシカノジョのカンケイ?誰の思惑だぁ?これはやり過ぎだろぉ! けどやばいヤバいヤバイヤヴァーイ!!このツンデレっぷり何か胸に迫るものがありますよー!? 「ねえ、当麻。来週の土曜、空いてるよね?」 「は?」 「は?じゃないわよ!先週から言ってたじゃない。もう忘れてるの!?」 「…あー、そうか、そうだったな!い、いや忘れてたわけじゃないぞ?ここんとこ定期試験のことで頭いっぱいだったから」 (ど、どうにかして話しを合わせておかないと…) 「……ふーん。私より定期試験の方が大事なんだ。当麻は」 「そんなことねぇよ!」 反射的に上条は叫んでしまった。しかし、反射的にそう言ってしまうくらい御坂が可愛かったのだから仕方がない。 御坂は上条が見たこともない柔らかい笑顔を作ると、ガシッと両腕で上条の首をつかんだ。美琴の顔が近い。吐息の温かさを感じるほどに。 「ねぇ、当麻。来週の土曜日…」 美琴の顔が赤い。というかめちゃくちゃ可愛い。やべぇ。俺どうかなっちまいそうだ。 小さい声で、そっと呟いた。 「いっぱいエッチしよ?」 チュッ 「じゃーねー、当麻ー。後で連絡するからー」 大きく手を振りながら去っていく御坂美琴。反射的に手をふる上条。 上条当麻はどうかなってしまった。
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【種別】 武器・霊装 【初出】 新約二巻 【解説】 天草式十字凄教秘蔵の霊装。 西洋魔術の使用を前提とした日本刀型の霊装であり、歴史の表舞台には決して現れなかった大業物。 「純粋な切れ味のみで、軽い一薙ぎで一千枚ほど重ねた和紙の束を両断した」という逸話から、 『草紙断ち』の異名を持つ。 とあるしょうも無い事情から「真剣白羽取り」に挑戦することになった建宮斎字に対し、 竹刀、模造刀の次に用意された獲物。 五和が振り下ろす真剣に対し、 「内に秘められた才能とかを掴み取って主人公になる!」と開き直った建宮がどうなったのかは待て次回。
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【種別】 魔術 【元ネタ】 ハンガリーの民話に登場する魔法の石。村から娘を攫った山賊が、 ペクスヂャルヴァという山に立て籠もるが、山頂にある赤い石の力によって死んでしまった、 というもの。一方、赤い石自体の上に腰掛けていた娘は無事であった。 出典 → 魔導具事典(山北篤・著) 海外のファンサイトにおいては"Pexjarva"というスペルが用いられている。 【初出】 二十二巻 【解説】 インデックスの遠隔操作霊装を手にしたフィアンマが放った術式。 対象の足から見えない力を這い上がるように体内へ浸透させる。 浸食された箇所は、骨の関節を強引にずらす痛みに近い激痛を発する。 『神よ、何故私を見捨てたのですか』を防がれたフィアンマが、 上条当麻に対して使用したが、 彼自身の太ももに対して幻想殺しをたたき込まれ、無効化された。 「警告、第二十九章第三十三節。『ペクスヂャルヴァの深紅石』――――完全発動まで七秒」 【余談】 長らく元ネタが分からなかったため、 禁書板ではこのような考察が為されていた。 23:■■■■ 2011/07/20(水) 12 15 30ID haB8MM72 俺も調べてみたけど、「ペクスヂャルヴァ」の意味については分からなかったな。 分からないままだと悔しいので、ガーネット(深紅石)の伝承をもとに考察してみた。 「ノアの箱舟で灯火の役目を果たし、暗闇に明かりをもたらした」 「ガーネットの持つ深紅の輝きは血を連想し、ガーネットを持っていると傷を受けないと信じられていたため、 中世の十字軍の兵士たちは戦場に赴く時にはガーネットを身に付けた」 「危険の接近を警告すると信じられ、古くから魔よけの護符として 伝えられてきた」 この3つうち『ペクスヂャルヴァの深紅石』の魔術のもとになってるのは下2つだと思われる。 “足元から這い上がってくる激痛=危険な場所(血を流す可能性のある場所)に踏み込ませないための警告”だと考えると、 『ペクスヂャルヴァの深紅石』は本来、他者を特定の場所に進入できなくさせるための魔術だったのかも。 フィアンマはそれを連続攻撃の繋ぎとして使ってたけど。
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プロローグ~とある少年の追憶Ⅰ~ いつからだろうか?自分と他の人が違うと気づいたのは。 聖堂の中には沢山の僕と同じくらいの子供たちがいた。 空いている席に座った。みんな何かを頑張ってやっていた。 隣に居た僕よりも子供な赤い髪の男の子が苦労して小さな火を蝋燭に灯していた。 何度呪文を唱えても何も起こらない子がほとんどだった。 きっとその子には才能があったのだろう。 魔術。それは才能が無い者たちが才能ある者と同じになる為の方法。 しかし、結局は才能の差が出てしまう。 灯りを灯したその子は自慢げに笑っていた。 ボクもやってみようと思った。 最大主教様が教えてくれた通り紙に文字を書く。《K(カノ)》意味は火(ひかり)。 そして小さく唱える。 「優しき火よ、汝の役割は月夜を照らす灯りなり」 紙は瞬く間に燃え上がる。 火は炎となって燃え広がっていった。 炎は全てを燃やそうとしていた。 その時ボクは気づいた。 自分が周りの子達と違う事に。 炎はまるで祝うかのように燃えていた。 新しい化け物(聖人)の誕生を祝うように…。 とある魔科学の幻想創造~イマジンクリエイト~